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  •  このブログはもともと、『ミノタウロス見聞録』の「レンタルブログで小説」の記事を集めてみた/「レンタルブログで小説」その後の2記事にインスパイア(w)されたものであることを、最初にお断りしておきたいと思います。  ブログの1発言に収まる短編を載せていくのであれば、ブログでもそんなに困難はありません。欲しいのは、目次機能くらいでしょうか。  しかし、長編連載となると……。   『ミノタウロス見聞録』... 続きを読む
  • テキストは、青空文庫『老いたる素戔嗚尊』からお借りしました。 高志(こし)の大蛇(をろち)を退治した素戔嗚(すさのを)は、櫛名田姫(くしなだひめ)を娶(めと)ると同時に、足名椎(あしなつち)が治めてゐた部落の長(をさ)となる事になつた。  足名椎は彼等夫婦の為に、出雲(いづも)の須賀へ八広殿(やひろどの)を建てた。宮は千木(ちぎ)が天雲(あまぐも)に隠れる程大きな建築であつた。  彼は新しい妻と共... 続きを読む
  •  しかし死は素戔嗚夫婦をも赦(ゆる)さなかつた。  八島士奴美(やしまじぬみ)がおとなしい若者になつた時、櫛名田姫はふと病に罹(かか)つて、一月ばかりの後に命を殞(おと)した。何人か妻があつたとは云へ、彼が彼自身のやうに愛してゐたのは、やはり彼女一人だけであつた。だから彼は喪屋(もや)が出来ると、まだ美しい妻の死骸の前に、七日七晩坐つた儘、黙然(もくねん)と涙を流してゐた。  宮の中はその間、慟哭... 続きを読む
  •  或日素戔嗚が宮の前の、椋の木の下に坐りながら、大きな牡鹿の皮を剥(は)いでゐると、海へ水を浴びに行つた須世理姫が、見慣れない若者と一しよに帰つて来た。 「御父様、この方に唯今御目にかかりましたから、此処まで御伴(おとも)して参りました。」  須世理姫はかう云つて、やつと身を起した素戔嗚に、遠い国の若者を引き合はせた。  若者は眉目の描いたやうな、肩幅の広い男であつた。それが赤や青の頸珠(くびたま... 続きを読む
  •  大広間の外へ出ると、須世理姫は肩にかけた領巾(ひれ)を取つて、葦原醜男の手に渡しながら囁くやうにかう云つた。 「蜂の室へ御はひりになつたら、これを三遍御振りなさいまし。さうすると蜂が刺しませんから。」  葦原醜男は何の事だか、相手の言葉がのみこめなかつた。が、問ひ返す暇もなく、須世理姫は小さな扉を開いて、室の中へ彼を案内した。  室の中はもうまつ暗であつた。葦原醜男は其処へはひると、手さぐりに彼... 続きを読む
  •  翌朝素戔嗚は何時(いつ)もの通り、岩の多い海へ泳ぎに行つた。すると其処へ葦原醜男(あしはらしこを)が、意外にも彼の後を追つて、勢よく宮の方から下つて来た。  彼は素戔嗚の姿を見ると、愉快さうな微笑を浮べながら、 「御早うございます。」と、会釈をした。 「どうだな、昨夕(ゆうべ)はよく眠られたかな?」  素戔嗚は岩角に佇(たたず)んだ儘、迂散(うさん)らしく相手の顔を見やつた。実際この元気の好い若... 続きを読む
  •  その夜素戔嗚は人手を借らず、蜂の室(むろ)と向ひ合つた、もう一つの室の中に、葦原醜男を抛りこんだ。  室の中は昨日の通り、もう暗黒(くらやみ)が拡がつてゐた。が、唯一つ昨日と違つて、その暗黒の其処此処には、まるで地の底に埋もれた無数の宝石の光のやうに、点々ときらめく物があつた。  葦原醜男は心の中に、この光物(ひかりもの)の正体を怪しみながら、暫くは眼が暗黒に慣れる時の来るのを待つてゐた。すると... 続きを読む
  •  海は絶えず膨(ふく)れ上つて、雪のやうな波の水沫(しぶき)を二人のまはりへ漲(みなぎ)らせた。素戔嗚はその水沫の中に、時々葦原醜男の方へ意地悪さうな視線を投げた。が、相手は悠々とどんなに高い波が来ても、乗り越え乗り越え進んでゐた。  それが暫く続く内に、葦原醜男は少しづつ素戔嗚より先へ進み出した。素戔嗚は私(ひそか)に牙(きば)を噛んで、一尺でも彼に遅れまいとした。しかし相手は大きな波が、二三度... 続きを読む
  •  色のない焔は瞬(またた)く内に、濛々(もうもう)と黒煙を挙げ始めた。と同時にその煙の下から、茨や小篠(をざさ)の焼ける音が、けたたましく耳を弾(はじ)き出した。 「今度こそあの男を片づけたぞ。」  素戔嗚は高い岩の上に、ぢつと弓杖(ゆんづゑ)をつきながら、兇猛な微笑を浮べてゐた。  火は益(ますます)燃え拡がつた。鳥は苦しさうに鳴きながら、何羽も赤黒い空へ舞ひ上つた。が、すぐに又煙に巻かれて、紛... 続きを読む
  •  翌朝もう朝日の光が、海一ぱいに当つてゐる頃であつた。まだ寝の足りない素戔嗚は眩(まぶ)しさうに眉をひそめながら、のそのそ宮の戸口へ出かけて来た。すると其処の階段(きざはし)の上には、驚くまい事か、葦原醜男が、須世理姫と一しよに腰をかけて、何事か嬉しさうに話し合つてゐた。  二人も素戔嗚の姿を見ると、吃驚(びつくり)したらしい容子であつた。が、すぐに葦原醜男は不相変(あひかはらず)快活に身を起して... 続きを読む
  •  葦原醜男はためらつた。すると側にゐた須世理姫が、何時の間に忍ばせて持つて来たか、一握りの椋(むく)の実と赤土とをそつと彼の手へ渡した。彼はそこで歯を鳴らして、その椋の実を噛みつぶしながら、赤土も一しよに口へ含んで、さも百足をとつてゐるらしく、床の上へ吐き出し始めた。  その内に素戔嗚は、昨夕(ゆうべ)寝なかつた疲れが出て、我知らずにうとうと眠にはひつた。  ……高天原の国を逐(お)はれた素戔嗚は、... 続きを読む

麻生(阿檀)

【このブログについて】
ブログで小説を手軽に連載したい方のための、
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