当初、「「アダルトにテンプレートを使われたくない」のはテンプレ供出者だけなのでしょうか。」を書いたときには、
・テンプレートのアダルト禁止規約は、作者のためだけにあるわけではないこと
・《FC2》のブログに関しては、「違法ならアカウント削除」を前提にすると、摘発に報復が見込まれるほど違法性の高いブログの問題が解決できないこと
の2点を挙げれば、有希之武氏daniel氏にある程度の再考をいただけるのではないかと期待したのだが、まったく甘かったわけで。
次に、daniel氏が「共有の原点」で根拠としてあげる公式マニュアルを《FC2》自ら善処してもらえまいかという期待をこめてメールを書いたのだが、少々無理があったようである。
私は個人的に、この議論をかわしている方たちに対しては尊敬の念を抱いている。非常に正直なところを言えば、daniel氏やsug氏を真正面に相手どって論戦を挑む愚を冒したくなくて、腰がひけていたのだが、ことにdaniel氏のブログには《FC2》スタッフのコメントも入っており、今後再構成される《FC2》共有テンプレートシステムがdaniel氏「共有の原点」の考え方に基づいて、「アダルト禁止規約は本質的に無効」という方向性になるのは、どうしても反対の声をあげておきたい。
■契約としての規約
なんかどこへ行っても似たようことを書いていて恐縮なのだが。以前に契約について書いたことがある
>料金を払って、電車にのる。それも、「輸送の契約」です。八百屋で野菜を買うのも、購買契約です。(略)契約書の有無は関係ない。
では、なぜ、麗々しい契約書が作られるのか。それは、口約束で残らなかったり、曖昧だったりする交渉ごとに「優先して」守るべき基準を定めるためである。
《FC2》とユーザーの間に交わされた契約は、「規約」である。
《FC2ID》の登録画面には、
とあり、《FC2BLOG》の登録画面には、ご登録される前に利用規約をお読みになり、同意の上、ご利用ください。
とある。FC2ブログに登録する前には必ず利用規約に目を通してください。
規約に同意後はフォームの内容を全て入力後、[登録]をクリックしてください。
他所の例を出してみると、転載論争参加時に読み込んだ《Yahoo》ブログの「規約」には、
という文言があったが。FC2規約には、公式マニュアルが規約に準じるという規定はない。各サービスごとのガイドラインは本規約の一部を構成しており
sug氏は、
と公式マニュアルを引用なさる。FC2ブログのユーザーなら誰でも、簡単に利用できるという共有テンプレートの基本的条件
また、sug氏の、
を読むと、sug氏はこの公式マニュアルの一文をもって、FC2が共有テンプレートを「ユーザや使い方に制限を設けてはいけない」と定めている、と、解釈なさっていることがわかる。ここに登場する 3人と FC2 の規定は「共有」の意味を正しく理解していると思う。共有とは、そのユーザや使い方に制限を設けてはいけない。これが基本である。
ところが規約は言う。
■テンプレートの著作権に関して
公式テンプレートの著作権はFC2に帰属し、FC2ブログ内に限り編集を可能とし、FC2ブログ以外での使用を禁止します。
FC2ブログで作成した共有テンプレートの著作権は共有テンプレート作者に帰属し、作者の許可なしにFC2ブログ以外に転載することを禁止します。
著作権はよく、権利の束であるといわれる。公表権、氏名表示権、同一性保持権、複製権、上演権及び演奏権、上映権、公衆送信権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権、翻案権等。(あ、うざくてすみません。著作権法の小題をコピペしましたw)
FC2の規約では、テンプレート作者に著作権を帰属させている。FC2はなんらの譲渡を受けていない、「束」から何もひいてはいないのである。
さらに著作権法は言う。
第六十一条 著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
第六十三条 著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。
2 前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる。
sug氏の言、
以前も書いたので繰り返しになるが、テンプレ作家は絶対的な権利としての作品の登録可否――使われたくない者には一切使わせない方法――がある。FC2 側の条件に反する規約(差別やシバリ)などは加えずに、なんらかの不満があるのなら、この権利を行使すればよい。は、一見説得力があるが。上の著作権法と読み比べると、使わせるか使わせないかという2分法など、著作権法は要求していないことがわかる。「アダルト禁止」という条件つきの許諾に、なんの支障もないのである。
これらを読み合わせると、公式マニュアル「FC2ブログのユーザーなら誰でも、簡単に利用できる」と規約「共有テンプレートの著作権は共有テンプレート作者に帰属」は矛盾する。しかし、両者に矛盾があるとしたら、登録時に読むことが条件となっている、規約が優先されるべきである。そうでなければ、規約の意味がない。
■作品の詐取なのか
……で、公式マニュアル「FC2ブログのユーザーなら誰でも、簡単に利用できる」を「共有テンプレートの作者の著作権は制限されている」の論拠にするには無理がある、と、まとまるかと思ったら。
ある方から物言いがついた。
一部のユーザーに共有テンプレートの利用禁止する行為は、規約中の禁止行為、
本サービスの運営・提供又は他の利用者による本サービスの利用を妨害し、又はそれらに支障をきたす行為とその幇助。に該当するのではないか、と。
もしもこの文言が、テンプレート作者の著作権の制限を意味するのであれば、規約の条文同士で矛盾があることになる。
ところで今更だが、共有テンプレートの多様さが、ユーザーからみた《FC2》ブログの魅力の一つであることは、誰も否定なさらないと思う。つまり、共有テンプレートは、《FC2》ブログの資産である。
もし(仮定)、もしもだ(仮定の強調)。上記の規約中の禁止行為が、「アダルトブログを含む利用者による、共有テンプレート利用を妨害する、テンプレート作者規約」を含んでいたとしよう。
しかし、テンプレート作者は、現状、実際にテンプレート解説に「アダルト・商用サイト使用禁止」などと書いて登録を行う。そして、それが少なくともWEB素材サイトの規約程度には遵守してもらえるものと期待している。(著作権の権利の「束」から何も引いてないのであれば、共有テンプレート作者の権利と、WEB素材サイトの権利は同等であるはずだ)
それがもし、《FC2》のサイドにはそんな意はなく、腹の底ではあくまでアダルトユーザーの“サービスの利用”を優先させながら、「規約違反の作者規約は無効ですよ」と警告を発することも、「FC2ポリシーに違反したテンプレ」として登録拒否することもなく、個別審査に合格させ、共有テンプレートとして登録していたとしたら。作者は、アダルト禁止規約が無効だと知っていたら、共有登録をしなかったかもしれないのだから、作者をいわゆる「錯誤の契約」に陥れたことになる。で、あれば。それは、テンプレートという作品の詐取である。
こまったことに私は、《FC2》という企業がそこまで悪であるとは思うことができずにいる。それはユーザーフォーラムでのスタッフ諸氏の対応などを見ての類推ではあるのだが。
つまり。
sug氏danile氏の記事をあくまでマットウに、真正面から受け取れば、お二人は、FC2に詐取の濡れ衣を着せているとしか見えないのだ。
ほんとうに、そうなのだろうか。
それとも、あのいくつかの記事は、単なるある種のレトリックなのだろうか。
■抵抗の力がなければNOの権利はない?
これまで書いたとおり、私個人は、作品の用途を限定する規約は、作者の著作権上の権利であり、FC2の規約でも否定されていないと考えている。(否定されているのだとしたら、FC2は詐欺企業ということになる)
daniel氏の記事を読み返すと、「Hall of Fame」(9/1)まで
デザイン・機能共に素晴らしい作品をものされる作者様の中には御自身のテンプレートが工口やアフィリに使用されるのは耐え難いと感じる方も少なくありません。( 後者を失えば『共有』制度自体立ち行かなくなってしまいます )と理解を示されていた方が、sug氏「再び、共有とは」 (9/2)を経て、「「共有」の原点」(9/3)で作者規約の全否定に急転回なさったように見えてしまう。
daniel氏は言う。
中途半端な(守られない)規約は百害あって一利なしたしかに、著作権の違反を摘発し、実効のある対抗手段をとるには、JASRAC,ディズニー並みの財力が必要だろう。
だが。だからといって。実効ある力のない者は、NOの声をあげることさえ許されないのだろうか。
もし私がここで、抵抗の力のない幼女は、夕闇の裏路地で何をされても仕方ないのか、声をあげる勇気のない少女は、満員電車のなかで何をされても仕方ないのか、と問うならば、貴方は私の卑劣な比喩を唾棄なさるはずだ。
けれど、本質を見てほしい。性の問題は、微妙で、個体差が大きく、しばしば「屈辱感」や「生理的嫌悪感」と結びつく。
自分の作品たるテンプレートの上に、アダルトブログのコンテンツを置かれることに「屈辱感」を「生理的嫌悪感」を感じるのだと、作者が抵抗の声をあげるとき、それはさきの比喩とどれほどの距離感があるのだろうか。
■ ■ ■
悪語をつらねた品のない記事ですが。daniel氏sug氏にご再考いただけるよう、また、《FC2》スタッフ諸氏にもテンプレ作者規約を有効という前提を今後とも保持していただけるよう、せつに祈っております。
■ ■ ■
9/22追記
sub氏にレス記事をいただきました。「共有、再考」
当方記事に付記するようにとのご希望ですので、抜書きしておきます。
ひとつお願いがあるのですが「sug の主張は、さらに極悪な『禁止系規約すべて無効説』である」とエントリの隅にでも書き加えていただけないでしょうか。
コメント-21日20時
私が今回の一連のエントリーに「アダルト禁止規約」とタグづけしている理由は以下の二つです。1.私が知っているテンプレート共有制度のある日本のブログは、《JUGEM》,《FC2》,《NINJA》の3つ*です。3ブログのなかでアダルトカテゴリーをシステムが認めているのは《FC2》だけで、しかも、TB,訪問履歴,共有提出についてはすでにアダルトカテゴリーの切り分けが済んでいます。アダルトが「差別されるべきではない」のなら、これらの切り分けも批判されてしかるべきでしょう。
(*《eXcite》のように、システム側が共有便宜のためのメニューを用意しておらず、テンプレート作者が勝手に提供して、ユーザーがコピペで使う系のものは含めていません。)
2.私自身の経験やフォーラム事例があることから“旗艦”的な意味合いで挙げた面があります。